“先輩”

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「俺…雅を可愛いと思うよ、清純な感じで優しいとことか」 柳井の手が、雅に伸びる。 両肩に手を置いて、顔を覗き込んだ。 「弓道部に部活見学に来たときから、可愛いなって」 やめて。 あたしを、そんなふうに、見ないで。 「…気になる……人が…」 「……ライブん時の?」 苦し紛れに呟いた言葉に、柳井の声が、かすかに震えた。 「ごめんなさい…、空気読めてないの解るんだけど……」 ここで断ったら、せっかく仲良くなった、今日のメンバーと、気まずくなるかも知れない。 好きだとか、嫌いだとか。 振ったとか、振られたとか。 そんなことに、巻き込まないで欲しい。 「……あの人、彼氏じゃないって…言ったじゃん!」 「……大切な、人なの!」 ごめんなさい、凱司さん。 断る口実に、使うね。 …気にしないで、いてね。 はっきり、名前は出さないし、好きだなんて、言わないから。  
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