現像

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機嫌はいいのか悪いのか、むっつり黙ったままのガイが、車を停めたのは。 わずか5分の後だった。 雨の吹き込まない、コンクリート張りのガレージ。 「降りろ」 雅を見ずに先に降り立ったガイは、キーもかけずにさっさと歩き出した。 ホテル…じゃないんだ、と雅は思う。 スクリーンの中から出てきてしまった、この“ひと”が男なら。 キスが、リアルなら。 雅の知る先は。 ラブホテル、のはず。 強化ガラスの扉を開けたまま、ガイがこちらを見ているそばに、表札のついた郵便受け。 “笠島”“鷹野” 「…自宅?」 「ああ」 たったひとつの郵便受けに、2つの名字。 開けたまま待っているガイの腕の下をうつむき加減に。 どこでも同じ、と。 くぐり抜けた。  
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