自覚と思い込み

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「じゃあ、凱司さんに聞いてみます」 テリア犬を型どった時計をちらりと見、友達が心配してるから行きますね、と踵を返した雅は、引き止めようと上げた友典の手を見ずに、走り去った。 「………雅さんを、彼女に?」 残された友典は、我に返ったかのように慌てて、携帯を取り出した。 表面上の事としても、あまり良い案とは思えない。 いや、確かに楽な案ではある。 ではあるが、許される案だろうか? 「凱司さんを…好きなんじゃねぇのかよ…っ」 友典が父から聞いたのは、雅は凱司に守られ、大切にされている人だと言うことだけだ。 電話をかけるかメールを打つか迷い、鳴り始めてしまったチャイムに、自分も雅も、昼食を取り損ねた事に気が付いた。 友典は、聞かれてしまう事を気遣い、父にメールを打ちはじめた。 今日、凱司に会いたい旨と、雅を彼女として扱って良いものかと。 とにかく、授業よりも、連絡をしなければならない。  
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