キスと、それ以上

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手出しはするな、と言う必要は無いだろう。 「宇田川、友典とよく話せ。同じ道に来るなら、お前がそろそろ連れて歩けばいい」 「はい」 「本家に組み入れるなら、うちには連れてくるな」 「はい」 「…怒ってるの?」 ふいに訊いた雅に、ようやく凱司の表情が緩んだ。 「怒っちゃいねぇよ」 「…宇田川さんも、怒ってないですか?」 「…怒ってませんよ。息子を信用出来ないだけです」 心底困ったように目を閉じた宇田川を正面から見つめ、雅の指がぴくりと動いた。 「宇田川、その髭、落とせ!」 「まっ…まだ触ってないです!!」 「…雅さん!だから私は息子が信用出来ないんです!」 友典に刺青はないにしろ、雅さんが何に興味を持つか解らないし! 不意に触れられて、友典が耐えられなかったらどうするんですか! 雅の体をくるりと回し、凱司に押し付けた父親を。 びっくりした目でまじまじと見つめた友典は。 凱司の膝の間で受け止められた雅と、雅の腰を捕まえたまま笑う凱司とを、ゆっくりと見比べていた。  
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