キスと、それ以上

8/18
前へ
/843ページ
次へ
「指……煙草臭い」 「…ああ」 きゅ、と閉じた唇を、横に撫でる。 「……ど、したん…ですか?」 何が起きているのか、解らなくはないのだろう。 雅の唇から血の気が、引いた。 左腕で更に腰を引き寄せ、俯きかけた頬を、右手で包む。 「…たば…こ…くさい」 抗議のつもりなのか、囁くように小さな声で言う雅も、近付きすぎた唇に、明らかな拒絶は見せなかった。 触れるか触れないか。 やわやわと掠める。 「…凱司、さん……?」 「…黙れ」 左手が、雅のシャツから背に、滑り込んだ。 素肌を、指が這う。 「………っ」 僅かにのけぞった背を押さえ、凱司の手はシャツの内側を上がって行く。 掠めていた唇を、奪うように合わせると同時に、下着の留め具が、外された。  
/843ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2895人が本棚に入れています
本棚に追加