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背の真ん中を、凱司の掌が探る。
少し冷たいくらいの凱司の指は、確実に雅の思考を止めた。
外された留め具に気がつかないのか、それとも。
解きほぐすように、唇の隙間に触れていく舌の動きに気を奪われているのか。
雅は必死な面持ちで、立ち尽くしていた。
「…凱っ…司、さ…」
そろそろ限界だとばかりに身動いだ、隙間の開いた唇から、舌を押し込んだ。
「……っ」
びくん、と跳ねた雅の膝から、崩れるように力が抜ける。
左手で体を支え、左膝に乗せた雅の体を、覆い被さるように抱き締めた。
深く。
浅く。
もう、止められる気もしない。
雅は俺の、なのだから。
凱司の指は、雅の襟元のリボンを、いとも簡単にほどいた。
ひとつ、またひとつ、とボタンをも、外していく。
「待っ……」
待って、なんて言わせない。
声を封じるように、深く。
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