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「やっ…」
雅が腕を突っ張り、凱司の肩を押す。
余りの必死さに仕方なく唇を離したのは、すべてのボタンを外し終え、外した下着がまとわりつくだけの上半身が、あらわになった頃だった。
「……泣かないのか」
「………」
シャツの前を掻き合わせた雅の首に光る、プラチナ。
鷹野に貰った、と嬉しそうに笑っていた、プラチナのネックレス。
「……外せ」
どうしようもなく、目に付いた。
雅は動かない。
膝の上から崩れるように床に座り込んだ雅は、シャツの前を押さえたまま凱司を見上げ、明らかに泣くのを我慢している。
「…外せ!!」
くしゃりと、雅の顔が歪み、涙が一気に、零れ落ちた。
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