キスと、それ以上

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火が、ついた。 だが、消さねばならない。 消してやらねば、ならない。 「……泣くな」 「だっ…て…だって!」 つぷりと指を差し挿れれば、素直に身をよじる。 号泣と言っても良いほどに手放しで泣く雅の体に、今はこれ以上、刻めない。 ここまでだ。 そもそも、やらないと常々言っていたのは自分なのに、と。 我に返った。 返って、しまった。 「…泣くな。大丈夫だ」 指は沈めたまま、雅の髪を撫でた。 額に、唇を落とす。 泣きながら、初めてしがみついてきた雅に、首を抱かせた。 指は、届く所まで沈め、何度も探る。 「やっ…やだっ…凱司さんっ…凱司さん…っやめ…怖…いっ」 ふいに泣き止んだ雅が、耳許で悲鳴に似た声を上げた。 差し挿れた指が、きつい収縮に圧迫される。 火を消すには、堕とせばいい。 執拗に擦り上げながら。 息を詰まらせる雅の声を、聴いた。 喘ぎすら止まった数秒。 本能そのままに体を痙攣させた雅は、凱司の首をきつく抱き締めたまま。 長い、嬌声とも泣き声ともつかない声を、響かせた。  
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