2893人が本棚に入れています
本棚に追加
/843ページ
「俺のせい?」
雅を教室にまで送り届け、もう少し笑ってください、と言う雅の要望どおり、ぎこちない笑みを浮かべてから踵を返した友典を捕まえたのは、加奈子だった。
「せっかく金髪の彼に頼んで行けるように許可貰ったのに、先輩が……」
金髪の彼に、の部分をひそめた加奈子は僅かに俯き、意を決したように顔を上げた。
「あの子、あんまり自分の事、話さないし、宇田川先輩の事も金髪の彼とかの事も、はっきりさせないから…よく解らないままなんだけど」
友典は、ポケットに手を突っ込むと、加奈子の言葉を待つ。
「明日のライブ、どうして来ちゃいけないんですか?」
「…………ライブ?」
初耳だ。
今日から1週間ほどの雅の予定を、確かにさっき聞いた筈だ。
特にないですよ、と可笑しそうに笑っていただけだったのに。
最初のコメントを投稿しよう!