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やっぱり凱司さんの痕だろうか。
生々しく想像してしまった友典が、あわただしく雅の手にチケットを握らせると、振り払えそうもない妄想に頭を振った。
「で…は、帰りにまた」
「あ、はい、あの、実習あるんで、あっちにいますから…」
「…はい」
いつもよりも遥かに足早に歩きながら、友典は、現場を目撃してしまったかのような居たたまれなさを感じていた。
凱司の大事にしているものだとは解っていたが、実際あんな傷になるほどの痕を残すなんて。
こんな幼稚な子が、凱司を満足させられるのか、とまで思っていたのに、まざまざと恥態が目に浮かぶ。
(親父の奴……凱司さんのものだけど凱司さんの女じゃないなんて…嘘吐きやがって…っ!!)
若さ故に、抜けられない妄想は止まらずに、今すぐ父親に電話して、文句を言いたいような気分に襲われた。
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