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「…どうした須藤雅?俺は子供に興味はないぞ?」
同じセリフなのに、違う。
雅は、じっと目を見つめると、あからさまにため息を吐いた。
「…先生、色気ない」
「…し、失礼な…」
そのまま立ち去ろうとした雅は、肩を再び掴まれて僅かに眉間を寄せた。
痣を圧されたような、鈍い痛み。
「だから、英作文、月曜日までだって言ってんだ。聞かなかった事にすんな」
「…誤魔化されてくれたっていいのに」
「駄目。あんな習ってもいない文章、認められない。宇田川が手伝ったんじゃないんだろ?」
あいつは英語はデキるが、書く方はイマイチだからな。と言った教師に、雅は首を傾けて振り向いた。
「友典さん、英語できるの?」
「お? ああ、喋れるのに書けない感じだな」
友典さん、雅さん、か。
初々し過ぎるだろお前ら!
と、気味悪気に頬を引きつらせた英語教師は、月曜日忘れんなよ、と言い残し、立ち去った。
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