淡く、盲信

2/33
2889人が本棚に入れています
本棚に追加
/843ページ
凱司がバスタオルを腰に巻き、濡れた髪をすっかり後ろに流した状態で出てきて初めて、雅は目を逸らした。 「っ…髪上げると怖いですね」 「……失礼な奴だな」 急き立てるように雅を立たせ、キッチンを素通り。 煙草を手に取ると、そのままソファーにまで、進んだ。 「灰皿」 「はい」 バスタオルのまま座った凱司は。 朝、鷹野が結い上げたままの髪型でいる雅を手招いた。 言われた通りに、白い陶器の灰皿を手にした雅は、刺青も露な凱司の正面の床に、ぺたりと座る。 「…鷹野と出掛けた後の事を順番どおり箇条書きで」 「箇条書きで!? ええっと…」 ライブハウス行きました。 佑二さんが居て。 鷹野さん来てくれて。 柳井先輩怒ってた。 それから… 友典さんが殴られた。 「……かな?」 あ、あと佑二さんにチョコレート貰いました。 「…ああ、悪かった。何となくしかわかんねぇわ。質問するから、答えろ」 眉を寄せた凱司が、こっち座れ、と隣を指した。 雅は素直に移動すると、ソファーの上で膝を抱えた。  
/843ページ

最初のコメントを投稿しよう!