343人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
ひーちゃんが日本を発って2週間が過ぎた。
結局私は、引っ越しを取りやめ、今の部屋を更新した。
幸いにも、まだ入居審査段階で、ひーちゃんが日本を発った翌日に
賃貸借契約書にサインをする予定だった事。
部屋のオーナーさんが、今の部屋と、たまたま同じ人だった事。
その方が大目に見てくれた事で、キャンセルができた。
色んな人に迷惑を掛けたし、申し訳ないと思うけれど。
ここを離れずに彼女の帰りを待ちたい。
この場所で、彼女を待ちたい。
ついこの前まで、彼女を感じてしまうこの街を、早く離れたいと思っていたのに。
今では街のあちこちで、彼女の面影を見てしまう。
小さな公園。
その側にある自動販売機。
スーパーの中のパン屋さん。
2人で歩いた、道。
彼女と過ごした日々が、街のあちこちで蘇る。
いつか、彼女が帰ってきたら、2人で暮らしたい。
今度は、素直な気持ちで向き合いたいから。
私は私のやるべきことを、きちんとやっていかなくちゃ。
前にもまして気合の入る私に紗貴ちゃんには
『結華ちゃん、ちょっとウザいよ。』
なんて苦笑いされた。
私は、私の道を進むだけ。
いつか帰ってくる彼女の隣に、胸を張って立てるように。
最初のコメントを投稿しよう!