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飛び立つ飛行機を、保元さん、麻琴と一緒に見送った。
私の手には、走り書きのメモが握りしめられている。
“これが私の滞在する住所だから。”
そう言って渡された1枚の紙切れ。
他の人から見たら、ただの紙切れだけれど、
私にとっては、ひーちゃんと2人で歩くための、チケットにも思えた。
飛び立った飛行機がどんどん小さくなって
ついには見えなくなってしまった。
寂しいけれど、心は温かかった。
『さ、帰りましょ。』
『保元さん、麻琴、本当にありがとうございます。』
『そんな事はいいのよ。ただお節介をしたかっただけなんだから。』
『そうそう、気にしないで下さいよっ!』
『そう言うあんたは、ちゃんと結華ちゃんの事、送っていくのよ。』
『はいっ!』
この人たちがいたからこそ、
私とひーちゃんの未来が続いたんだ。
ひーちゃんとは暫く離れてしまうけれど、
私はもう、怖くない。
ひーちゃんとの未来を、信じているから。
きっと、これからも私達は素直になれない事があるだろう。
でも、きっと乗り越えられる。
…ううん、乗り越えていくんだ。
何があっても…。
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