プロローグ

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今日は、雪が降った。 窓から手を伸ばすと、ひとひとと冷たくて小さな雪が手のひらに落ちる。 『水夏は、雪が似合う子だよね』 名前の通り夏に生まれたあたしに、くすくすと笑いながら言う彼にあたしは苦笑いを返した。 夏に生まれたのに、雪が似合うなんて変だよ。 あの時も、雪が降った。 あの時も、彼はあたしのそばにいた。 でもあたしは、彼がどう思って、どう感じあたしを見ていたかなんて、わからなかったんだ。
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