夜風に吹かれ

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---暮柳 紫苑--- 「紫苑?」 「……」 すぅーっと。 肩で息しながら飛び起きた訳じゃなくて、普通に。 悪い夢……見てた筈なのに。 「紫苑、起きたか?」 「……悠斗」 兄の悠斗が、あたしの肩に触れていた。 あたしを起こしていたらしい。 「大丈夫かよ? 結構魘されてたけど……」 「うん……大丈夫。 昔の夢見てただけよ」 「それ、『だけ』って済ませられる事じゃねェよな?」 「……だね」 勉強机に突っ伏していた姿勢から立ち上がり、大きく伸びた。 「で、なあに?」
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