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窓から零れる月明かりが俺の瞳に写る。
月は変わらず綺麗だ。
「あなたっ、あの子を捨ててしまいましょう?静慈がいればあの子なんていらないわ。寧ろ邪魔なだけよ。」
ドアを挟んでいるにも関わらず漏れる女の声、母だ。
「でも、あの子も一応家の子だ。それに、捨ててしまっては会社の信用がなくなる。」
「あら、大丈夫よ。あの子が生まれた事も誰も知らないわ。」
でも… と、渋る男の声は父。
父も母も社長と秘書の関係で、結構有名な美男美女の夫婦だ。
会社も売上No.1と世界でもⅠ、2を争う企業だ。
俺はベッドから下り、ドアに耳を傾ける。
月の光だけでも結構な明るさだ。
「私、あんな子が一緒の所に住んでると思うと……虫ずが走ってたまりませんの。」
「あの子がいるのは地下じゃないか。」
誰が地下にいる?
何故、二人とも名前をヨバナイ?
「でも……」
ガチャ
俺は耐えられなくなってドアを開けた。
途端に、母と父の声がピタリと止み、二人の視線は俺に注がれる。
『なに?』
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