一章 武装する人類

3/11
前へ
/14ページ
次へ
 この、元気の塊の様な男。ボクもついつい流れで言ってしまったが、名前を大塚(オオツカ) 徳和(ノリカズ)と言う。  趣味は人助け。好きな言葉は『青春』。という至(いた)って真面目な青少年の印象を一身に放つ彼だが、たまにその青少年ぶりが空回りするのだ。そう、二日に一回くらいの――本当にたまに。 「――で。いつもの事だから、ボクもすべこべ言わずにさっさと訊くが」 「おう!!」  これは、毎年この時期恒例行事なのだ。訊きたくもないし、聞きたくもない事だがどうしても言わなければ後々身体的かつ精神的浪費がかさむだけなので言っておく。 「今年は誰が彼女なんだ?」 「緋色、聞きたいか!? 今年は同じクラスで隣り合う席に座るであろう――」  エア彼女決め行事。ボクはそう呼んでいる。こいつは一年で一度、クラス替えの頃に今年一年妄想の中で彼女を作り出すのだ。理由はポテンシャルの上昇だという。はっきり言って気持ち悪い。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加