一章 武装する人類

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「おはよう御座いますわ、特に大塚様!!」  聞き慣れただみ声だ。そして大塚にとっては暫定で世界一嫌なものだ。まあ、ボクには関係のないことなのでいつもの通りに返す。 「おはよう西園寺」 「……さ……西園寺か」  ボクに続けて呟くように言った大塚には先程まであれほどふるまいていた元気は1マイクロほどもなかった。こうなると起伏が激しいやつだとも思えるが、1日のこの時だけこうなる、ボクには慣れた光景である。 「大塚様、私(ワタクシ)たちもA組ですわよ!!」 「……そ……そうか」  だみ声の主は、西園寺(サイレンジ) 雛(ヒナ)という。名前に似合わない巨体と更に似合わないお嬢様育ちということが特徴と言えるだろう。そして、その巨体に隠れるように常に居る西園寺よりも雛々(ヒナヒナ)している少女。  ――目が合う。 「おはようございます緋色様」 「ああ、おはよう樋ノ内」  軽い会釈をしスカートの裾をちょんと摘まんで挨拶をした少女。西園寺家の使用人であり、西園寺 雛の専属メイドを担当している樋ノ内(ヒノウチ) 遙(ハル)大きな瞳をもった大人しい奴だ。
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