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そして湊は、土下座をした僕の頭を踏みつけた。
「ふぐっ!」
地面に顔を叩きつけられて、僕は変な声をあげる。いや、そんな事を気にしている場合じゃない。鼻がヒリヒリする。擦りむいたんじゃないだろうか。
鼻の、というか顔に走る痛みを我慢しつつ、立ち上がる。そして湊に文句を言おうと口を開こうとした時。湊が笑った。
「おい、龍斗。………ぶふっ……!!っはははは!!やっべぇよ!俺、今年一番笑ったかもしんねぇ。あはは、あっはははははは!!」
「そんなに笑われると傷付くんだけど。」
大体僕をこんなにしたのは湊だろうに。そう心の中で湊に文句を言いながら、怪我した時のために持ってきていた絆創膏を湊に貼って貰う。ここで文句を口に出さないのが僕クオリティー。僕は文句を言ったらどうなるか分かってるからね。
湊に絆創膏を貼って貰ったから、多分明日には治っているだろう。自慢じゃないが、僕は傷の治りが結構早いのだ。伊達に湊の幼馴染み兼親友をしている訳じゃない。
「で、湊は何を話してたの?」
「あぁ、それはな…………。お前には関係が無い事だ。」
「いや、最初に話聞いてた?って聞いてきたじゃんか。つまり僕に向けて話をしてたって事でしょう?」
そして話題は原点回帰。親友と二人で帰る今日は、とても楽しい日になる――筈だった。
突如僕の真下に魔方陣が現れ、それが光った瞬間に、湊が居た場所をトラックが通過した。血飛沫が僕に降り注ぐ。眩む視界の中、僕が見たのはボロボロになった湊の制服と、原型を留めていない、ぐちゃぐちゃになった湊の体だった。
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