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「皐月! おま、どどどどど、どういうつもりだっ! お兄ちゃんを、殺す気かっ!」
ぼくは尻もちをついたまま、がさささささ、と後ずさった。すぐにドン、と部屋の壁にぶつかり、それ以上は退がれない。
「ひゃーっははは! ばかなこと言ってんじゃねぇーぞ、兄貴ぃ! 包丁を頭めがけて振り下ろしてんのに、殺意がないわけねぇーだろぉー?」
「殺人鬼か、お前はっ!? なんでそんなに楽しそうなんだよ!」
高笑いを部屋に響かせて、皐月はずぼっと包丁を引き抜いた。
鋼鉄の刃が、ギラッと凶悪に光った。
ぼくは辺りを見回して、とりあえず一番分厚そうな雑誌に手を伸ばし、皐月へとかざした。ちょっと薄くて頼りないけど、なにもないよりマシだろう。
ぼくを守れ、雑誌シールド! ……て、なんだこれ?
はっ。し、しまったぁっ!
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