序章

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 ぼくよりも一つ年下で、今年(二〇一三年現在)高校に入ったばかりの、十五歳。十二月の誕生日で、十六歳になる皐月。  記録を読み進めるうちに、皐月がどんな子か分かってくるとは思うが、一応、予備知識として、“客観的”に見た場合の皐月という女の子を、端的に羅列しておく。  容姿端麗。ここは一番気になるところだろう。なので、一番に挙げてみた。  成績優秀。勉強はともかく、一般的な感性くらいは理解しておいて欲しいところだ。  運動抜群。何もないところで転んだりするのも可愛いが、手がかかるのは困りもの。  明朗快活。学校など、“他人がいるところ”では、非常に明るく朗らかだ。  ここまで挙げれば、いかにぼくの妹が素晴らしいかは、想像に難くないのではないかと思う。  だが、ここからだ。  ここからが、問題なのだ。  妹には、とんでもない秘密が隠されている。  知ってしまった今となっても、ぼくには完全に理解出来ない、“秘密”が。
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