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1.
早速だが、皐月がぼくと同じ高校に合格し、三ヶ月が過ぎようとしていたところから始めたい。
いろいろと考えたが、やはりここから語るのが一番いいと思うからだ。
BPDがどんな病気か、端的に説明するのは簡単だけど、それだけでは絶対に伝わらない。それではこんな記録を残しておく意味がない。例え、誰も読まなかったとしても、だ。
ともあれ、六月も後半に突入し、じめじめとした雨に濡れそぼる、梅雨の本番真っ盛りに、太陽の気配は薄い。
そんな季節から、この話は始まる。
その日も、どんよりと曇っていた。
チュンチュンと、小鳥のさえずる声と淡い光が、レースカーテンだけ引かれた窓からすり抜けてくる。
その刺激で、海中を漂うクラゲが浮上するように、ぼくの意識が徐々に覚醒した。
まぶたの裏が、なんとなく明るくなったような気がして、ぼくは気だるく思いながらも、ベッドの中で、ゆっくりと目を開けようとしていた。
が。そんなにまったりとはしていられなかった。
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