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「――っ! うおわぁぁぁっ!」
まず目に映った、禍々しい光を弾く鋭利な物体を、ぼくは全力全開で体を捻ってかわさなければならなかった。
寝起きにこれほど体が動くことに、自分自身、驚いた。
どふ、という鈍重そうな音を立て、それがぼくの枕に突き立った。ぼくはそれを横目で確認しながら、ベッドから転がり落ちた。
それは、包丁だった。
刃渡り二〇cmはあろうかという、柄まで一体となった銀色の柳葉包丁が、ぼくの枕を貫通し、マットレスにまで達している。
「なっ! なにをするっ!?」
ぼくは転げ落ちた自分の部屋の、もふもふとした白いカーペットが敷き詰められた床から、包丁を振り下ろした人物を見上げた。
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