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 空調の低い音が機内を満たしていた。  いつも以上の疲れを感じていた立花天音(たちばな あまね)は眉を潜めた。少し頭痛を感じていたが、それは肩までの髪を後ろで止めているせいではないだろう。 『エアコンの調子が悪いのかしら。いやに大きな音に…… わたしの調子が悪いのかな』  天音がオレンジ・アビエーションのキャビンアテンダントになって一年。たいていのことには慣れていたが、ストーカーに付きまとわれることには慣れなかったし、慣れることもないだろう。
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