満開

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満開

 その中年の男はよく行く居酒屋で古くからの友2人と飲んでいた。    身につけているもの、顔、じゃべり方からするとどう見てもヤクザだが、周りにいる客も常連。彼らがただのチンピラではないことを知っていた。    残った日本酒を一気に流し込み、その男は言った。 「結局よぉ、俺らはどんなことを求めてここまで這い上がってきたのかなぁ?」 「しらねぇ~よ……たださ、色んなことがあった。協力して、殴り合って、ぶつかり合って、仲間割れして、酔いつぶれて……今もかなぁ…… 結論、俺たちは何も求めずに、得てきたんじゃないかなぁ。男とは何なのか……俺たちは今、満開の桜だよ」
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