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でも、そんな事を直前に言い出すと、彼女はまた気をおかしくして大暴れをする。
だから僕は黙っていた。
そして、受験の日前日に僕は、
「明日大学受験なんだ」
と報告した。
すると彼女は、
「なんで何も言ってくれなかったの?」
そう言って泣いていた。
これにはさすがの僕も反省した。これは僕が悪い。どんな理由であれ、彼女に一言報告するべきだった。
「ごめん…」
ただただ謝る事しかできなかった。彼女が求めている答えはこれではない。そう思うけれど、この一言しか出てこない。
この時何故か、ずっと前に告白してくれた子の事を今更ながら思い出した。
ニコッと僕に笑いかけてくれて
「ありがとう」
感謝の言葉を口にしてくれた子の事を。
今、目の前にいるのが恵美じゃなくて、その子だったら…
その子はこの時、この瞬間僕にどう言ったのだろう。
「すごい! 頑張って!」
と応援してくれたような気がする。
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