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「あ、あんたのせいで茶碗が割れた!」
「ふざけんな、彼氏もろくに作れないお前のせいだ。お前が悪い。っつーかそれ、俺が買った茶碗なんだけど」
「あんたのだったの? ……だったら何?」
姉は慎重に茶碗の破片を拾いつつ、俺に怒りの眼差しを向けてくる。
色々と言ってやりたい事は多いが。
「こっちを見つつ破片を拾うなんて、器用だな……」
「黙りなさい、あんたのせいだからね! っつあ!?」
破片で指を切ったらしい。言わんこっちゃない。
破片の処理を早々に断念した姉は、神妙な面持ちで俺の隣のソファーへと腰を下ろした。
そして、黙り込む。
こいつが黙り込む時は、かなり機嫌が悪いときと相場は決まっている。
「なぜ俺の隣に座る」
「…………」
「何か言おうよ。ってかお前、何がしたいの?」
「……ふん!」
「ふん! って……。今時ふん! って……。なんなのマジで」
話しかけると無視する上に、隣で負のオーラを全開にしてくるとか性質悪いんですけど……。こんな奴、彼氏どころか友達もいないんじゃないのか?
「用がないなら俺、部屋行くわ。ちゃんと茶碗の破片片しとけよな」
「あのさ……」
俺が逃げるようにソファーから立ち上がったところで、声を掛けられてしまった。
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