嫌味な姉

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「……で、だよ」  姉の顔に真剣さが宿る。 「私たちをそれぞれ引き取りたいって言ってきてる。どっちがどっちに引き取られるかは決まってないし、私たちの意思を尊重したいとか紛いなりにも親っぽいことも言ってきてる」  なんだか雲行きが怪しくなってきた。 「それってつまり、今までの生活ができなくなるってことかよ」 「私もあんたと同じこと考えた。親はあんなんだから、好きなように生きて死ねばいいと思う。でも、それで私たちの生活が変えられるのはムカつくわ」 「そうだな。それで、まさかお前……あいつらと一緒に暮らすのか?」 「バカね……。あんなのと一緒に暮らせるわけないでしょ」 「だよな。あいつらと一緒に暮らすってことは、今ある人生の三分の一くらいを犠牲にするようなものだもんなー」  自分とは別にもう一人分の掃除、洗濯、料理、家計簿までも代わりにやってやる羽目になりかねない。  怠惰の権化のような親と暮らすなんぞ、想像しただけで嫌になるわ。 「それは無いにしても、じゃあ具体的にどうすんのさ」 「あいつらの手はできるだけ借りたくない。だから私は就職する! 良いとこの内定も決まったし」  良いとこ!? 内定だと!? 初耳だ! 爽やかに重大発表しやがって、そういう性格にもイラっとくるよ? ってことは……姉貴は自立するのか。う、羨ましい。
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