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「で、ね」
姉は人並みにある胸を沢山膨らませた後、一気に萎ませて、申し訳なさそうに背中を丸めた。
「正直、一人暮らしって心配なのよ。それで、誰か一緒に居てくれたら嬉しいなーって思ったり、思わなかったりするわけよ」
視線をあっちにこっちに動かして、手を宙に彷徨わせてソワソワし始めた、もしかしてこいつ……照れているのか? うーん、どういうことだ?
「つまり、彼氏が欲しいと?」
「あ、あんたね! ……それ、からかって言ってるんだとしたら大した自信と度胸よ」
姉の作った右拳が、別の生き物のようにワナワナと震えている。
どうやら標的は俺らしい。
「ちょっと待て! なんでそうなる? からかってなんかねぇよ。真面目な話だろ」
「親のところに行くくらいなら、私と一緒に暮らさないかって誘ってあげてんの! はぁー。どうしてそれくらいのことも察せられないかなー」
「ああ……なるほど、そういう意味か」
姉に残念そうに首を振って呆れられてしまった。オマケに「バカね、ほんとバカ」とシミジミした口調で言われてしまった。
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