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一式翁が新幹線ホームにたどり着いてから暫く過ぎた頃、遥々博多からやって来た超特急のぞみが一式翁のいるホームに到着した。
すると一式翁は、駆け足で何とか追い付ける位にまで減速していた列車の中に知った顔を見つけたらしく、乗車待ちの列に配慮しつつその車両を追いかける。
やがて列車が停止し乗降扉が開くと、一式翁は10番目位に降りてきた二十歳前後に見える女性に声をかけるのであった。
「お疲れ様くるみちゃん。
おや?
タライ坊主は一緒じゃないのかい?」
彼女の名前はくるみというらしい。やがてくるみが口を開いた。
「陸攻さんはフランツさんと銀華(ウンファ)ちゃんを迎えに行ってるです」
にこやかな表情でくるみ。くるみが話す度に、アニメからそのまま抜け出して来たような桃色の長い髪がふわふわと揺れる。
その様はくるみが纏っている、端を白で縁取った青いメイド服に実によく映えるのであった。
ちなみにくるみの言う陸攻さんとは、一式翁の孫にしてくるみの旦那である男性の名前である。
さすがに祖父と孫とが同姓同名ではややこしいのか、くるみは一式翁を機長旦那を陸攻さんと呼んで両者を区別していた。
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