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回廊の壁を飾る真っ白な女神の彫刻が、真っ赤な血に濡れた。
「邪魔をするな。私はこの者と話をしているのだ」
凛とした声が、回廊に響きわたる。
答えるのは、壁に叩きつけられた兵士の呻き声だけだった。
大きな窓からは、まばゆいほどの陽の光が差し込んでいた。
壁面に施された大理石の彫刻や、白い天井を煌びやかに彩る金の紋様は、陽の光を浴びて回廊全体を明るく照らし出しているはずだった。
だが、実際その場に居合わせた者は、誰ひとりとして楽しげに踊る光など感じてはいなかった。
磨き抜かれた床に落ちている黒く大きな影に、誰もがまともな五感を奪われていた。
兵士たちは守るべき者のそばへ駆け寄ることを躊躇い、剣を構えたまま眼前に見えるものを、ただ凝視する。
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