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「そのまえに、私がおまえを殺してやる! 姉上をこんな姿にしたおまえを、私は許さない!」
「ほう? 威勢の良さだけは認めてやるが、そんな震えた手で剣を握れるのか? それに、勘違いするな。おまえを殺すのは私ではない」
女はおもむろに腕を上げた。
その細く白い指先がユーイに向けられたとたん、ユーイのすぐそばで空気が弾けた。
「な……にを……っ!」
とっさに右腕を押さえたユーイは、鋭い痛みに声を詰まらせた。
「そのように睨むだけでは何も守れぬぞ、幼き王女よ」
カッとなり、ユーイが一歩前に踏み込んだのと同時に、女は抱えていた水晶をユーイのほうへと押しやり、手を放した。
「ユーイさま!」
数人の兵士が弾かれたように駆けだし、危ういところで水晶を支える。
おかげで水晶に押し潰されることだけは免れたが、ユーイは大きく体勢を崩して、そのまま尻もちをついた。
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