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敬愛する姉姫を閉じこめている水晶に手を伸ばそうとしたとき、ユーイの右腕がふたたび鋭い痛みを訴えた。
顔をしかめ、袖を捲り上げたユーイは、思わず息を飲んだ。
「魔族の、刻印が……」
誰かがつぶやく。
ユーイは大きな目をさらに大きく見開き、あらわになった自らの二の腕を食い入るように見つめた。
鼓動が喉元で聞こえるようで、息苦しくてたまらなかった。胃液までもが込み上げてくる。
「なんてことだ。ユーイさまが、魔族の呪いを受けられた……!」
それは王家に生まれたユーイにとって、身の破滅を意味する言葉だった。
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