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「あゆちゃんが可愛いからさぁ、ケイの奴、照れてるんだよ」
「か、可愛いって……何言ってるの太一くんっ……!!」
「えー、可愛いじゃーん。 だって俺、あゆちゃんに惚れてるしー?」
「……ついさっきまで私のお姉ちゃんにラブだったくせに、よく言うね」
はぁ……と、ため息をついたあと、少し遠くに居るケイと悠一さんを見る。
ボールをやり取りする二人は、凄く楽しそうに笑ってる。
……私を前にした時とは大違い。
これが、普段の二人……。
無愛想だった悠一さんは、はつらつとした笑顔でシュートを決め、ケイもまた、さっきとはまるで違う爽やかな笑顔で……やっぱりカッコイイ。
「歩美ちゃん、『もう来ない』なんて言わずに、またおいで?
俺たちはいつでも歓迎する。 せっかく出会えたんだもん、このままバイバイなんてしたくないよ」
「そうだよあゆちゃん、俺のプレーを見においで!! 俺がシュート決めるところを見たら、絶対俺に惚れるよー?」
「あれ? 太一、喫茶店の子はもういいの?
絵美さん、だっけ。 いつも『好きだー』って俺らに話してたじゃん」
「それがさぁ、喫茶店のマスターと結婚したんだって!! つまり人妻!! さすがに人妻には手ぇ出せないっしょー」
「あ、なるほど。 でも、だからって歩美ちゃんに手ぇ出すのは筋違いじゃない?」
「俺とあゆちゃんの仲だからオッケー!!」
「なんだそりゃ」
と、そんなことを言って笑う二人。
歳は少しだけ離れているけど、やっぱり幼なじみだから仲が良いんだなぁ。
全然、会話が途切れない。
そんな二人を見ながら私も笑い、またケイたちを見る。
……やっぱり、凄く楽しそう。
バスケットのルールはあんまりわかんないけど……でも二人のプレーはずっと見ていたいと思えるほどに、綺麗……。
「あゆちゃん。 もしかして、ケイの本名知りたい?」
「……へっ!?」
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