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な、なんでそうなるの…!?
「別に私、ケイのことなんて知りたくないしっ!!」
「そう? ケイにあつ~い視線を送ってたから、知りたいのかなぁと思ったけど」
「違うよ!! ただっ……バスケ上手だなぁって、見てただけ」
……うん、それ以外は無い。
て言うか、ケイの本名なんてまったく興味ない!!
「ケイのプレーは一級品だから、あれを見た女の子は絶対アイツに惚れる。
つまりー、あゆちゃんもケイに惚れちゃうってことだね」
「ほ、惚れるって……」
「百聞は一見に如かずってね。 おーいケイ、ボールぷりーず!!」
タタッと軽快な足取りで、太一くんはケイに近づき、ボールを受け取る。
そして……――ボールをバウンドさせながら、一気にゴールへと走り出す。
速い。
バスケットにあまり詳しくない私でも、それがわかった。
太一くんが、シュートの体勢に入る。
ボールが手から離れ、真っ直ぐにゴールへ……――と、思ったけれど。
「あっ……」
……ケイが、ボールを弾いた。
こぼれたボールを悠一さんが拾い、ケイへとパス。
……ゆっくりと、綺麗なモーションからのシュート。
集中した、真剣な瞳……。
心臓がドキドキと音を立て始めたその時、放たれたボールがゴールネットを揺らした。
「ナイスシュート!!」
隣に居る祥介さんの声を聞きながら、私の瞳はケイだけを見つめていた。
ケイの華麗なシュートと、仕草、そして……、
「祥ちゃんは、やらねーの?」
……屈託のない、柔らかで、最高に輝いた笑顔……。
――『あれを見た女の子は絶対アイツに惚れる』
太一くんの言葉が頭の中で何度も何度も繰り返される。
ドキ ドキ ドキ....
鼓動はどんどんどんどん速くなっていく。
もしかして私……ケイに惚れちゃった……!?
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