高校3年

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夏祭りの日、僕は千秋と夜店を見てまわった。 時刻は夜の十時頃。 祭りも終わって多くの人がもう姿を消し、僕らも帰路に着いた。 一時間ほど前のあの賑やかさはすっかり無くなり、静かな帰り道だった。 それでも周りには、まだ同じく今になって帰る人達もまばらに見える。 カップルが多いようだ。 千秋と僕は付き合っているわけじゃないんだ。 仲の良い友達っていうのかな。 いや、仲が良いわけでもないから気の合う仲間という感じだ。 ―――僕は昨日、ある女の子に振られたんだ。 その子は隣のクラスの春香さんって言う。 真剣に好きだったのに振られてしまったんだ。 千秋は僕が春香さんのことを片想いしてきたことを知っているし、昨日振られたことも知っている。 だから僕に同情して今晩の祭りに付き合ってくれたんだろうな、彼氏がいるのに。 千秋の彼氏は陸上部のキャプテンをやっていて校内でも人気がある。 千秋のほうも美人で通っているが、綺麗な二重だがちょっときつい瞳をしていて一見冷たい素振りを人にすることから、美人だということに自惚れているとの陰口もしばしば耳にする。 しかし僕はあいつと中学の頃から知ってるから言えるけど、あいつは自惚れているわけじゃない。 勝ち気は性格だから、ああした態度をとってしまうだけだ。
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