高校3年

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僕は大した理由があるわけじゃなかったが、振られた困惑と落胆もあって、放課後に千秋と話していたときに何となく祭りに行こうかと誘ってみた。 千秋は表情もなく、いいわよと言った。 祭りの帰り道、僕たちは会話もなく歩いていた。 風に揺られて木々がザワザワと鳴いている。 祭りでもあまりしゃべらなかったし、笑いなんて全く無かった。 第一、僕としては笑いの持てる心境じゃない。 千秋は慰めの言葉をかけてくれるわけでも、元気づけるための明るい話題を出してくれるわけでもなく、ただただ一緒に歩いてくれた。 ―――僕は街路灯に照らされて風に揺られている木々をぼんやり見ながら言った。 「光に当てられた夜の木って神秘的だよな・・・?」 千秋は木を見上げて 「ええ、そうね・・・」 と感情のこもっていない返答をした。 まだ八月下旬だが、今晩は案外涼しい。 秋の気配を感じさせた。
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