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僕は千秋の肩に手を掛けた。
千秋は僕をにらんで、うるさそうに手を払いのけた。
僕は今度はちょっと引き寄せるように千秋の肩に手を掛けた。
千秋は今度もちょっと怒ったように僕の手を振り払った。
もちろん僕は千秋に彼氏がいることも知っているけど、今のやりきれなさとその場の雰囲気のせいだろう、そんな行為をした。
僕は春香さんを一年四ヶ月間、想ってきた。
告白でもしなくてはどうにも苦しいまできて、ここ二ヶ月くらいずっと告白しようと決めていた。
でも、なかなか春香さんが一人でいることもなくて、また短いチャンスをためらったばかりに逃してきた。
告白しなければ先に進めないと分かっていながら、いざ声をかけて引き止めようとすると、心臓が口から出てくるほどに緊張した。
それでも、とうとう昨日告白のチャンスがあったので、心を決めて呼び止めて告白した。
「・・・だから・・・他に好きな人いるし、あなたのことよく知らないし・・・。」
そう彼女は言ってしばらく黙っていたが、ふいに「それじゃ」と言って走って行ってしまった。
今でも告白したときに春香さんと手の届く距離で目を合わせて少しの時間を持ったときに感じた幸せを覚えている。
今までは離れたところで僕のほうが見ていただけだったのだから。
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