高校3年

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こんなに本気で好きなのに、こんなに切実に想ってるのに、考えてみれば僕は告白するまで一度も言葉をかわしたことがなかった。 人への想いは、普段見ているその人のイメージ以上に自分の心の中でどんどん膨らんでいくんだろうな。 逆説的だけど、相手のことをよく知らないからこそ、その人への想いが自分の心の中で留まることなく大きくなり、そして純粋に膨らんでいく。 その人と関わりを持ちながら次第に好きになる場合は、ここまで純真で切実にはなれないだろう。 これから僕と春香さんはどうなっていくんだろう。 もしかしたら、まだ付き合える可能性があるかもしれない。 このまま一生、春香さんと付き合えないなんて耐えられない。 春香さんは、どちらかと言うと目立つほうではない。 時々、一人で本を読んでいるところを見かける。 僕はそういうちょっと影があるような人に惹かれるところがある。 だから目立たないほうではあるが、顔の可愛さは最高で見ていて飽きることがない。 実際の年よりも少し年下に見える幼さの残った顔立ちをしながらも、凛とした瞳をしている。
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