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二人が消えたホテルは、
大久保病院の正門口に近い
2番通りを折れた細い通り沿いだった。
すぐ傍には、交番があり、
細い路地を何周も彷徨(うろつ)くのは
都合が悪い場所だ。
それに、このへんは風俗の呼び込みも多く、
キャッチの男性もウロウロしている。
ハイジアビルの前にも、ひっきりなしに、
携帯片手の女性が現れた。
彼女達は、
すぐ脇にあるホテルへと消えていったが、
3度同じ女性と、同じ場所で出会ってしまい
流石に、恥ずかしさがこみ上げた。
それでも粘ってみたが、
何度か待ち合せした女性と間違われて声を掛けられたり、
しつこいナンパにも合う始末だ。
ずっと立っている場所には都合が悪く、
深夜2時を回っても出て来ないところを見ると、
早朝のチェックアウトまで部屋を出ないつもりだろう。
かと言って、ホテルのチェックアウト時間に合わせて、
ネットカフェを出るまで、待ちきれなかった。
早朝、日が昇らないうちから
この階段で身を隠すように、二人が出てくるのを待ち構える。
それで、
私は親友と共に現れた恋人に、
なんと言えばいいのだろうか。
私は、何をしたいのだろう。
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