その壱、国民の前では慎ましやかに

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きらびやかな金の縁取りがされた絨毯の両脇には、立派な服を着たラッパの兵隊さん。 彼らがラッパを吹き鳴らすと、世にも美しいクローニー王国のお姫様が、国民にお目通ししてくれる。 そして、今日も。 「王女様の、おな~り~!!」 けたたましくラッパが鳴り響き、絨毯を静かに踏みしめるヒール。 まだ若い姫君は、すねまでの長さの純白のドレス姿で、城内からバルコニーへと赴いた。 その表情は凛としていて美しく、所作すら輝く。 バルコニーへ出た彼女は、国民へ軽く手を振った。 「皆様、ご機嫌うるわしゅう。サイネリアでございます」 少女らしさの残る澄んだ声が、国民に染み渡る。 「本日はとても気持ちのいい日ですわね。皆様、お仕事に精を出されていますが、どうかお体には十分にお気を付け下さいませ」 にこやかに、とりとめもない演説を進めていく。 「最近、森でモンスターを見かけたという話を、兵士から聞いております。どうか森には近寄らないように、お願い致します」 やんわりと危険を知らせて、仕事はおしまい。 王女は速やかに自室へ戻る。
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