その壱、国民の前では慎ましやかに

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「はあ…」 先程とは絶対に別人だろう、だるそうな表情のサイネリア。 彼女は演説の後、すぐに自室にこもり、十時のおやつタイムに入っていた。 「姫様、今日の挨拶も完璧でしたね」 にこりともせずに、横に控えていた騎士が言った。 サイネリアは彼を気だるそうに見て悪態をついた。 「何が完璧よ。少しもそんな事思ってないでしょ。顔に書いてあるわよタイクーン」 タイクーンと呼ばれた騎士は、少し眉をひそめて黙り込んだ。 と同時に横やりを入れたのは、髪の長い色男だ。 「演説より、今朝の姫はとてもかわいらしかったよ。あのドレス、すごくお似合いでした」 これまた歯の浮くような言葉を、うやうやしい所作で言うもんだから、サイネリアはこちらにも文句をつける。 「朝からうっとおしいわ、ギャラクシー。あんたは女だったら誰でもいいの?」 つまりは、サイネリア王女のご機嫌を取るなんて、至難の業としか言いようがなかった。 だって彼女は、国一番の… 「タイクーン、お茶のおかわりちょおだい!ギャラクシーはお茶菓子持ってきなさいよっ」 …わがまま姫だから。
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