1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「はあ…」
先程とは絶対に別人だろう、だるそうな表情のサイネリア。
彼女は演説の後、すぐに自室にこもり、十時のおやつタイムに入っていた。
「姫様、今日の挨拶も完璧でしたね」
にこりともせずに、横に控えていた騎士が言った。
サイネリアは彼を気だるそうに見て悪態をついた。
「何が完璧よ。少しもそんな事思ってないでしょ。顔に書いてあるわよタイクーン」
タイクーンと呼ばれた騎士は、少し眉をひそめて黙り込んだ。
と同時に横やりを入れたのは、髪の長い色男だ。
「演説より、今朝の姫はとてもかわいらしかったよ。あのドレス、すごくお似合いでした」
これまた歯の浮くような言葉を、うやうやしい所作で言うもんだから、サイネリアはこちらにも文句をつける。
「朝からうっとおしいわ、ギャラクシー。あんたは女だったら誰でもいいの?」
つまりは、サイネリア王女のご機嫌を取るなんて、至難の業としか言いようがなかった。
だって彼女は、国一番の…
「タイクーン、お茶のおかわりちょおだい!ギャラクシーはお茶菓子持ってきなさいよっ」
…わがまま姫だから。
最初のコメントを投稿しよう!