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“ん~っ”と、伸びをしながらベッドに倒れ込んで、このまま寝るかシャワーを浴びるか考えながら
「お前、今日どうすんの?
一緒にここに泊まってく?」
既に夜も更け、帰るには億劫な気だるさ
いつもならこんなふうに訊く事なんてしないのに、何となく思い出してしまったせいか…
少し眠そうな目のそいつに声をかけてみたら
やはり気味悪そうに俺を見て
「赤西と一緒のベッドで眠るなんてゴメンだね
まだ終電あるから帰る」
言いながら、さっさと帰り支度を始めている
「冷たてぇなぁ、俺とお前の仲じゃん」
ちょっと寂しそうな素振りで言ってみたけど
「は?俺とお前がどんな仲だって?
寝ぼけんな」
一言で一蹴されてしまう
……ちぇ、冷たいやつ
なんて、本気で思っている訳じゃない
俺も1人で眠りたいし
こいつとこんな関係になって幾度も躰を重ねたけれど、たったの一度も2人で同じ朝を迎える事はなかった
事が済めば、微睡んだり所謂ピロートークってやつをするわけでもなく、どちらかが先にシャワーを浴びて帰る
残されたもう1人は泊まっていくか、時間をおいて帰るか…
だからもし、こいつが泊まると言ったら、自分が帰るつもりでいたくらいだ
「あっそ、じゃあおやすみ―」
手をひらひらとさせて、支度を終えた上田が部屋から出て行く後ろ姿を見送り、自分はどうしようかと思考を巡らせた
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