へいわなくに

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外にはもう、朝日が登り始めていました。 美しい罪人は先ほどの華奢なからだとはちがう、逞しい大きな獣になっていきました。 そこに、見回りの家来たちがやってきて、銃を構えました。獣になった罪人は、家来たちを食い殺しました。 恐ろしくなったお姫様に獣になった罪人が優しく語りかけました。「私はこれから外で暮らすよ。自由にしてくれてありがとう」 お姫様はその声に安心して、どうしてもお兄さまと一緒にいたいと思いました。 「わたしも連れていってくださらない?お兄さまと一緒にいきたいのです」 獣になった罪人は頷き、お姫様を背中に乗せて森へ走ってゆきました。 美しい罪人が本当にお姫様のお兄さまなのかはわかりません。しかしきっと、森で幸せに暮らすのでしょう。
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