1人が本棚に入れています
本棚に追加
「…やっぱり、上手いなー。」
白い壁
白い床
小さな四角い窓
何の変てつもないただそれだけの狭い部屋
だけど、その空間は、沢山の絵で溢れてた。
壁や床に染み込んだアクリル絵の具の匂いは、慣れれば平気。
「…ねぇ、みち。何で人間の絵しか描かないの?」
みちは、絵が上手くて、自分の個展も開けるんじゃないかな、って思う位の腕前だった。
確かに上手い。
だけど、いつも描く絵は、決まって人々の表情や仕草ばっかり…
「…いやー、写真みたいにリアルだし…すっごい上手な絵なんだけどさ……。…ほら!このアトリエ、せっかく綺麗な景色がいっぱい見えるんだし…」
狭い空間の小さな窓は、それなりにちっぽけだ。
…だけど、
綺麗な空
エメラルドグリーンの海
白い砂浜
この空間の外は、とても広々で美しいものに溢れてた。
まるで、自分が絵に入った様に感じる事が出来る…溶け込むような空間。
最初のコメントを投稿しよう!