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「…ふふ。ちるは、ロマンチストね。」
そうやって…可愛くいつも笑うから…
からかわれた事も簡単に許せてしまうんだ。
もお。
私、その笑顔に本当に弱いんだから。
ズル過ぎでしょ。
でも、今日はいつもと違ってて…
「…私は、人々を思うままに描くんだぁ。……そしたら、今まで見えてなかった部分まで見えるんじゃないのかなって思うんだぁ。…そう思わない?」
今まで見たことない位に真面目な顔をして話すから…
不覚にも少しドキッとしてしまった。
…いつものおしとやかなイメージじゃない。
ふんわりとしたイメージが、凛とした強い者へと変わる。
「…ふふふ。…それにね、風景とか……描くの苦手なんだよねぇ。」
真面目だった変わらない表情が、少しだけ揺らいだ気がした。
「……………」
「……………」
風がさらりと私達二人の髪を撫でる。
しばらくの沈黙が長々と続いた。
聞こえてくるのは、風の音と波の音だけだった。
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