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「…ねぇ。じゃあ、描けるようになったら一番に私に見せてよね。」
「うん。当たり前でしょ?…描けるようになったら。ね?」
苦手だから、何て言ってたけど…
でも、本当にそれだけの理由かな?
みちの事は、何にでも知っている自信があったんだよねぇ。
出会った時から意気投合して、周りから見たらどうでもいいような、そんな他愛ない話を続けてきたから…
…ずっと…
…だけど…、最近、自信がなくなってきたんだよ。
たまに、みちの事がまったく分からなくなる時があるの。
ずっと黙っていたみちが、突然口を開いた。
「…ねぇ、ちる。ちるはさぁ、もしだよ?もし、私が、風景を描けるようになったら…どんな絵を描いてほしいの?」
「へっ。何?いきなり。」
「良いから!良いから!何が良いの?」
「うーん。そうだなー。やっぱり、空かなぁ。」
「ふふふ。空かぁ。」
「ちるらしいなぁ。」そう言って笑って…
またこの部屋は、静かになった。
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