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「…どうして?」
「何がですか?どうしてタツさんを好きになったの、ですか?」
「それもそうだけど、第一ミヤは拓海と付き合っているだろう」
「タクとは昨日別れてきました」
雅は、少し声を大きくした。
思い返せば、今日の拓海は妙に大人しかった。
心ここにあらずという感じで、僕の指示を聞いているときも上の空だったが。
「タクね、暴力振るうんですよ。あんなに外面いいのに。信じらんない」
「そんな…」
「馬鹿な?」
「…馬鹿な。あり得ないだろう」
「信じらんない?」
「あいつは、そんな奴では…」
「ホラ」
雅が、シャツの襟元を摘まんで鎖骨の向こうの肩を覗かせた。
白い肌に、薄いピンク色のブラ紐が見えて、慌てて目を背ける。
「ミヤ、落ち着きなさい。こんなところで」
「ちゃんと見て」
彼女の真剣な声に、仕方なくまじまじと彼女の左肩に目をやると、そこには白いテーブルクロスに溢したワインのような、紫色の痣らしき痕があった。
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