1.最新兵器

4/21
前へ
/67ページ
次へ
副長室は静かだ。 「お忙しいところ申し訳ありません、幕府から来た最新兵器です」 私は零零参(003)と言う番号でしか呼ばれないから、名前はない。 最新兵器です、と名乗る他ない。 「ああ、あれか…入れ」 襖の向こうから声がした。 失礼します、と襖を開けると紙と墨と副長の匂いがした。 副長は机に向かいこちらを見向きもせず、ご苦労だな、と言った。 副長の声を憶える。この声の命令しか聞かないように。 ふう、と副長は息を吐いてこちらを向き目を見開いた。 一応、笑顔を作っていたのだけど… 「女ひとりに武器を運ばせたのか?」 どうやら、私が武器とは思ってないみたい。 「いえ…副長、私が最新兵器です」 「はぁ?」 そんなことあるか、と言いたそうな顔に幕府からの書状を渡す。 「これは…!」 真剣な眼差しで書状を読む副長は何やら溜息をついた。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加