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副長室は静かだ。
「お忙しいところ申し訳ありません、幕府から来た最新兵器です」
私は零零参(003)と言う番号でしか呼ばれないから、名前はない。
最新兵器です、と名乗る他ない。
「ああ、あれか…入れ」
襖の向こうから声がした。
失礼します、と襖を開けると紙と墨と副長の匂いがした。
副長は机に向かいこちらを見向きもせず、ご苦労だな、と言った。
副長の声を憶える。この声の命令しか聞かないように。
ふう、と副長は息を吐いてこちらを向き目を見開いた。
一応、笑顔を作っていたのだけど…
「女ひとりに武器を運ばせたのか?」
どうやら、私が武器とは思ってないみたい。
「いえ…副長、私が最新兵器です」
「はぁ?」
そんなことあるか、と言いたそうな顔に幕府からの書状を渡す。
「これは…!」
真剣な眼差しで書状を読む副長は何やら溜息をついた。
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